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債権保全火災保険で債権回収リスク回避
2018/10/6 銀行やローン会社が不動産を担保に資金需要者へ融資実行する際に、資金需要者の所有不動産へ抵当権や根抵当権といった担保権を設定して債権保全を図りますが、債権保全強化の一環として担保となる建物には火災保険への質権設定や債権保全火災保険を利用して債権回収のリスク回避をします。ローン会社が取り扱える担保不動産の種別は大きく分けると一戸建て不動産、分譲マンション、収益ビル、更地となりますが、更地以外の担保不動産には建物が付随しています。
ローン会社が担保不動産の評価を算出する際に、基本的には新築や築浅の物件以外は建物の評価金額は加算されませんが、分譲マンションの場合は土地所有のほとんどが敷地権なので担保不動産評価のメインが建物自体となります。
しかし担保権設定している建物が火災や地震といった人災、天災により倒壊、滅失してしまった場合は、建物に設定した担保権設定自体が目的物を失ったことにより消滅してしまいます。
担保不動産である建物が滅失してしまった場合、債務者は債権者から与えられた期限の利益を喪失し、直ちに融資金残債務を一括返済する義務が生じますが、ほとんどの債務者に融資金残債務を一括返済出来るような資力はありませんので、建物が消失するような事由に備えるために建物所有者は火災保険に加入します。
銀行やローン会社は確実な債権保全を図る意図で不動産担保融資実行時に、土地や建物への担保権設定と同時に債務者が加入している火災保険へ質権の設定も行います。
ローン会社が予め火災保険へ質権設定しておくと、建物が火災や地震等により倒壊、滅失してしまっても担保権者は債務者に優先して火災保険料を債務弁済に充当可能です。
火災保険に質権を設定するには火災保険証券の原本を債権者側が管理する必要がありますが、資金需要者の中には家族に内密で不動産担保ローンを融資利用する方もおり、火災保険証券は同居家族が 保管していて持ち出すことが不可能だというケースもあります。
火災保険証券を持ち出せない資金需要者の方には新規の火災保険に加入していただくか、債権保全火災保険の利用がお勧めです。
債権保全火災保険とは銀行やローン会社が債権の確実な保全、回収を図るため担保不動産への担保権設定のほかに、建物火災等によって建物が倒壊、滅失してしまった場合に抵当権者が被る損害を補填する保険のことで、主に銀行やローン会社といった債権者が保険契約者となります。
現在加入している火災保険証券持ち出すことが不可能な資金需要者の方は新たに火災保険へ加入して質権設定するか、ローン会社が保険契約者となり債権保全火災保険を利用するか、融資担当者と相談してお客様にとって負担の少ない有利な方法を選択してくれるローン会社選びを実践していきましょう。
気になる事例VOL・272 は福島県福島市在住の小出様。43歳の男性で、福島市内でラーメン屋を経営する個人自営業者の方です。
お店の改装資金、運転資金として20年長期返済型、元利均等返済方式で500万円の不動産担保融資希望です。
不動産担保ローン審査対象物件は土地60坪、建物木造2階建てで平成10年新築です。
小出様ご家族が居住用不動産として現在利用中です。
不動産購入時に融資利用したA銀行の住宅ローン抵当権が1000万円設定されていて融資金残債務は150万円あります。
返済延滞や税金未納はありません。
不動産担保ローン審査対象物件は福島県福島市野田町、JR東北本線福島駅より徒歩で約15分の第1種低層住居専用地域に位置し、近隣の不動産売買取引相場は平均して坪20~30万円前後です。
JR福島駅近辺はエスパル福島を中心に、デパート中合や大小ホテルが軒を連ねる活気ある地方都市です。
交通アクセスもJR東北本線、東北新幹線、山形新幹線、奧羽本線と複数路線が利用可能で利便性は高いです。
担保査定としては普通の住宅地です。
よって土地坪数60坪、土地坪単価20万円、総額1200万円と不動産担保査定評価しました。
第1抵当権者A銀行の融資金残債務150万円に想定遅延金2年分を加算して、第2抵当順位から500万円の不動産担保ローンを融資実行しても不動産担保融資掛け目6割弱と融資上限金額以内で問題ありません。
福島市内でラーメン屋を営む小出様は古くなった店内の改装資金と当面の運転資金捻出のため、メインバンクであるA銀行に不動産担保ローンを申し込みますが、直近2年分の確定申告書の内容が悪いという理由で融資否決されます。困った小出様はローン会社B社へ不動産担保ローン相談します。机上での担保融資相談で第2抵当順位からでも500万円の担保融資に問題なさそうだとの回答を得たため、正式に不動産担保ローンを申し込みます。融資担当者から予め不動産への担保権設定と同時に、現在加入中の火災保険にも質権設定するので火災保険証券の提出を求められましたが、火災保険証券は妻が管理していて担保ローン利用も内密のため持ち出せないことを融資担当者に相談します。融資担当者からローン会社が保険契約者となる債権保全火災保険を利用すれば問題無いと告げられたため、予定通り不動産担保融資を進めます。不動産現地調査、必要書類の提出、社内融資稟議可決、金銭消費貸借契約書の締結を経て後日、融資金額500万円、貸出金利9%、返済年数20年、毎月々4万5000円お支払い、返済総額1080万円という内容の不動産担保ローンが融資実行となりました。
・銀行やローン会社が不動産担保ローン融資実行する際に、資金需要者の所有不動産へ抵当権や根抵当権といった担保権を設定して債権保全を図るが、債権保全強化の一環として担保となる建物には火災保険への質権設定や債権保全火災保険を利用して債権回収のリスク回避する。
・担保不動産である建物が滅失した場合、債務者は期限の利益を喪失し直ちに融資金残債務を一括返済する義務が生じるが、ほとんどの債務者に融資金残債務を一括返済出来るような資力は無いので、建物が消失するような事由に備えるために建物所有者は火災保険に加入する。
・債権保全火災保険とは銀行やローン会社が債権の確実な保全、回収を図るため担保不動産への担保権設定のほかに、建物火災等によって建物が倒壊、滅失してしまった場合に抵当権者が被る損害を補填する保険のことで、主に銀行やローン会社といった債権者が保険契約者となる。
監修
株式会社ABCサニー代表取締役
貸金業務取扱主任者
秋山容吉
株式会社ABCサニー代表取締役
貸金業務取扱主任者
秋山容吉
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