借地権付き担保物件への対処方法

2017/12/16 借地権付き担保物件への不動産担保ローンの対処方法について、融資事例を交えながら解説していきます。
自己所有する不動産の土地上に第三者の建物が建っていて建物所有者と借地権契約を締結している場合には、借地権の期間が満了するまでは借地権者の権利は土地所有者以上に強く守られているためローン会社は底地権者（土地所有者）への単独融資には消極的ですが、借地権の契約書に借地の具体的な坪数が記載されていれば借地権契約の及ばない残った土地を算出して不動産担保ローンを利用することが可能です。

借地権契約とは建物所有者が土地所有者から借地権で借りる年数を設定して30年以上（借地旧法と新法で違い有り）といった長期間に亘り土地を賃貸する契約のことですが、借地権者が地代の支払いを延滞したり、勝手に建物を増改築するといった借地権の契約不履行をしない限り、居住する権利を借地権の契約相手である底地権者から無理やり契約解除されることはありません。
借地権には賃借権や地上権、地役権等々の種類がありますが、平成4年に改正された新借地法では居住用で借り受けた賃借権の契約期間は最低でも30年以上となり、借地権者はより安全な借地権の契約が締結可能となりました。

建物を所有する借地権者の権利は土地を所有する底地権者より強い

ローン会社の見解も建物を所有する借地権者の権利は土地を所有する底地権者よりも強く、不動産担保ローンを利用する際にも借地権の融資に対応するローン会社は多く存在しても、借地権者ではない底地権への融資に対応する貸金業者は少ないのが実情です。
借地権で第三者が所有している建物の下の土地は借地権によって建物が存在している間は有効活用できず、底地は死に地などと揶揄されることもあるくらい不動産担保の評価価値はありません。

借地権契約が付いている土地でも借地権の契約書上で借地権契約の範囲を坪数で設定している場合は建物の建っていない残った土地を担保に、借地権の契約に支障の出ない形で不動産担保ローン利用可能なケースもあります。
借地権契約付きの土地坪数が全体で100坪あって借地権者との借地権契約は50坪と設定されている場合は、残った50坪に借地権者の建物が越境していないことが条件となりますが、借地権契約の不履行にならない不動産担保ローン利用することが可能となることもあります。

借地権の契約書に坪数を設定していない場合は借地権契約している土地の地番全てに借地権契約が有効となるため、建物が建っていない土地を活用しての不動産担保ローン利用は不可能となり、いざ土地を分筆しようにも借地権契約後は借地権者と立会いの下で境界確定しないといけませんので注意が必要です。
借地権付きの底地だから価値が無いと不動産担保ローン利用を躊躇している資金需要者の方は、様々な角度からローン検証してくれる不動産担保ローン会社もありますので、借地権の付いている不動産だからと諦めずにお気軽に不動産担保ローン相談してみてください。

借地権付きの土地を担保にした不動産担保ローンの実例

気になる事例VOL･254　は埼玉県越谷市在住の菊池様。53歳の男性で、越谷市内の大手スーパーにお勤めの会社員の方です。
不動産売却予定の借地権付きの土地を担保に1年短期契約型、自由返済方式で500万円の不動産担保融資希望です。

借地権付き担保物件への対処方法に関してのまとめです。

・所有不動産の土地に第三者の建物が建っていて借地権契約を締結している場合、借地権の契約満了まで借地権者の権利は強く守られているためローン会社は底地権者への単独ローンには消極的だが、借地権の契約書に借地権の権利が及ぶ坪数が記載されていれば、借地権契約の及ばない残った土地を計算して不動産担保ローン利用することが可能。
・借地権契約とは建物所有者が土地所有者から借地権の契約年数を設定して30年以上といった長期間に亘り土地を賃貸する契約のことだが、借地権者が地代の支払いを延滞したり、勝手に建物を増改築するといった借地権の契約不履行をしない限り、居住する権利を底地権者から借地権の契約解除されることは無い。
・借地権付きの不動産でも借地権契約を坪数で設定している場合は残った土地を担保にローン利用可能なケースもあり、借地権契約付きの土地坪数が100坪あって借地権者との借地権契約は50坪と設定されている場合、残った50坪に借地権者の建物が越境していないことが条件だが、借地権の権利が及ばない不動産担保ローン利用することが可能。