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使用貸借契約は売却融資で締結不要
2016/9/10資金需要者が自身の居住用不動産を担保にするのではなく、親族や友人等に無償で使用貸借させている不動産を担保に融資利用する場合には使用貸借契約書の締結が必須となります。
しかし使用貸借している不動産を担保ローン実行と同時に売却活動する不動産売却前提担保ローンの場合は、現在居住している第三者から使用貸借契約を締結しなくてもローン会社から不動産担保融資利用出来るケースもあります。
ローン会社が不動産担保ローンを融資実行する際に必ずチェックする融資審査項目として、担保不動産を誰がどういう用途で使用しているかの担保不動産使用状況チェックがあります。
資金需要者が居住用不動産として自己利用しているケース、収益不動産として賃貸借しているケース、誰も使用していない空き家状態なケースと様々な使用形態がありますが、親族や友人等に賃料を徴収せずに無償で使用貸借させている場合、ノンバンクは担保物件使用者の居住権や占有権といった将来的な債権回収リスクを回避するため、使用貸借契約書の締結を不動産担保ローン融資実行時の必須項目とします。
しかし担保不動産を使用中の第三者には担保ローン利用することは内密で、ローン会社が要求する使用貸借契約を第三者と締結できない場合、最悪のケースとして担保融資審査自体が否決されたり、担保ローンは融資実行するものの貸出金利は高金利、返済年数は短期契約の更新型と融資諸条件全般が資金需要者にとって厳しくなるケースもあります。
資金需要者が使用貸借中の不動産を担保ローン実行と同時に不動産売却活動する不動産売却前提担保ローンを融資利用した場合は、使用貸借中の第三者から使用貸借契約書を締結できなくても融資実行可能とするローン会社もあります。
ローン会社が不動産売却前提ローンであれば使用貸借契約書の締結を不要とする理由は、不動産が売却されれば不動産売却益から融資金残金の一括返済が可能なので、使用貸借している占有者との争いが生じないためです。
ノンバンクは担保融資審査する上で、不動産担保評価や個人信用情報と同等に債権回収リスクも重要視しますので、不動産売却前提担保ローンという出口戦略が明確な返済型ローンには柔軟な融資審査対応も可能となります。
気になる事例VOL・204 は東京都港区在住の阿部様。39歳の男性で、東京都内で飲食店に勤務する会社員の方です。
カードローン、カーローンのおまとめ資金として1年短期返済型、不動産売却前提担保ローン利用で800万円の不動産担保融資希望です。
融資条件は売却前提
不動産担保ローン審査対象物件は土地30坪、建物木造平屋建てで昭和59年新築です。
5年前に阿部様が単独相続した物件で、現在は阿部様の実弟が無償で使用貸借しています。
銀行住宅ローンやノンバンクの担保ローン設定はありませんし、税金未納もありません。
不動産担保ローン審査対象物件は愛知県名古屋市熱田区一番、地下鉄名港線六番町駅より徒歩で約10分の第1種低層住居専用地域に位置し、近隣の不動産売買取引相場は平均して坪50~60万円前後です。
六番町駅近辺は住宅地の一角で大手スーパーやデパート等はありませんが、街道沿いには中堅スーパー等があり買い物等の利便性は普通です。
交通アクセスは地下鉄名港線の他に東海道本線の利用が可能で、名古屋駅や金山駅へのアクセスは便利です。
担保査定としては中級程度の住宅地です。
よって土地坪数30坪、土地坪単価50万円、総額1500万円と不動産担保査定評価しました。
住宅ローン等の担保設定は無く第1抵当順位から800万円の不動産担保ローンを融資実行しても不動産担保融資掛け目5割強と融資上限金額以内で問題ありません。
東京都内の飲食店に勤務する阿部様は利用しているカードローンとカーローンの毎月返済が20万円と高額になったため5年前に単独相続した愛知県名古屋市の実家を売却して借金の一括返済を検討しますが、実弟が使用貸借していて直近の不動産売却が不可能なため、1年間の猶予期間を設定した不動産売却前提担保ローンの融資利用を検討します。ローン会社A社へ担保融資相談したところ、担保融資自体は可能だが実弟との使用貸借契約書の締結が必須事項と告げられます。実弟には不動産担保ローン利用を内密にしているため困った阿部様は、使用貸借契約書の締結不要なノンバンクを選定します。ノンバンクB社に担保融資相談したところ、不動産売却前提担保ローンで1年短期契約であれば使用貸借契約書の締結は不要と回答されたため担保融資審査を依頼します。不動産担保現地調査、担保融資必要書類提出、社内融資審査可決、金銭消費貸借契約を経て、融資金額800万円、貸出金利7%、返済年数1年、毎月々お利息のみ4万6000円お支払い、不動産売却時融資金一括返済という内容の不動産担保ローンが融資実行となりました。
・資金需要者が親族や友人等に無償で使用貸借させている不動産を担保に融資利用する場合は使用貸借契約書の締結が必須となるが、使用貸借している不動産を売却前提ローンとして不動産売却活動する場合は、居住中の第三者から使用貸借契約を締結しなくてもローン会社から不動産担保ローン利用出来るケースもある。
・資金需要者が居住用不動産として自己利用するケース、収益不動産として賃貸借するケース、空き家状態なケースと様々な不動産使用形態があるが、無償で使用貸借させているケースでのノンバンク対応は担保物件使用者の居住権や占有権といった将来的な債権回収リスクを回避するため、使用貸借契約書の締結を担保ローン実行時の必須項目とする。
・ローン会社が不動産売却前提担保ローンであれば使用貸借契約書の締結が不要とする理由は、不動産売却されれば売却益から融資金残金の一括返済が可能なので使用貸借している占有者との争いが生じないため。
株式会社ABCサニー代表取締役
貸金業務取扱主任者
秋山容吉
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